家のお付き合いを大切にする風習がある石川。
異なる二つの家が新たな親戚関係を結ぶ儀式。
結婚に対して誠意を表す…礼を重んじる石川の結納をご紹介致します
袂酒(たもとざけ)
見合いが主流だった時代に婚約承諾の正式な返事を確認する為、男性側と仲介者が一升の樽酒と半紙で包んだスルメを持って女性宅を訪ねた事に由来します。
「たもと酒」とは、女性側が気が変わり、婚約を断ってきた場合を考えて、着物のたもとに隠して参上した事から、この名前が付いたと言われています。
両家の正式な顔合わせの儀式で、婚約の日取り(結納日)を話し合う席です。
これから一生(一升・いっしょう)よろしくお願いします。長く家に留ってください(寿留女・するめ)の意味があり、女性側が承諾したら軽くあぶったスルメを冷酒と一緒にいただく風習です。
別名で、「仮結納」、「一升酒」、「手打酒」とも言います。
結納品(ゆいのうひん)
石川の結納品は、九品が基本になります。豪華で立体的な「加賀水引」が使われ、鶴や亀、松竹梅に海老や鯛など、美しい水引たちがおめでたい席を彩ります。
長熨斗(ながのし)、家内喜多留(やなぎだる)、御帯料(結納金)、寿恵廣(すえひろ)、寿留女(するめ)、優美和(ゆびわ)、御紋付(留袖など)、子生婦(こんぶ)、友白髪(ともしらが)の九品に、茂久録(もくろく)、家族書、親族書を添えます。
「仏壇参り」などの儀式を重視する所ですので、仏壇にお供えする「御仏前」と、神棚にお供えする「御神前」を用意します。これで十一品になります。
結納は必要?結納をしてよかった?
全国的にも結納を省く傾向にあるなか、北陸では4~5組に1組は結納を行っているようです。
なかでも、石川県ではおよそ4組に1組が結納をしているとの結果もあります。
結納品に使われる「水引」水引細工の伝統工芸を大切にしている土地柄もあり、重んじる傾向があるようですね。
「結納は正直やらなくてもいいな」と思われていた夫婦も「やってよかった」との声も多いようです。
・お互いの家や環境を知るいい機会になり、やはりけじめになりました。
・お互いの家族と交流が持てるし、親しくなるためのきっかけになると思う。
「しきたり」をわずらわしいもの、古いものと考えず、人生の節目を大切にしたいですね。
新郎新婦だけで決めずに、相手方のご両親にも意見を聞き「こうしておけばよかった」と思うことがないようしましょう。